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暴露試験

1.直接暴露試験


南フロリダの直接耐候性試験サイトのラック
南フロリダサイトにおけるブラックボックス暴露

直接暴露試験は、屋外暴露試験、 又は自然暴露試験として知られていて、太陽光、又は他の天候構成要素に直接暴露することとして定義されています。 この直接暴露試験は、代表的な方法としては、 暴露ラックに材料を取付けることで実施されます。 図 2.1に示す標準ラックはアルマイト加工を施したアルミニュームでできており、 (北半球では) 南面に向けられ 一定の角度で固定されます。代表的なサンプル寸法は150 x 305mm で、 一般的な暴露角度は、 ほぼ水平 (通常は 5°)、45°、垂直(90°)、 及びテストサイトの緯度 (フロリダと中部アリゾナで、 それぞれ 26°と34°) に相当する角度となります。角度 90°で行われた暴露は、厳しい暴露結果を提供しませんが、 多くの場合、 被試験材料の最終用途に、より近い状態と一致します。 他のどの角度も、 そのような一致は得られません。 直接暴露試験は ISO 877 プラスチックス、 直接暴露試験への暴露、 ガラス越し昼光への暴露方法、及びフレネル反射鏡を使用した太陽集光促進屋外暴露方法、 ISO 2810 塗料とワニス、 コーティング材の自然暴露 ━ 暴露と総合評価、ISO 150-B03 繊維品、染色堅ろう度試験、第B03部 ━ 屋外暴露試験に対する染色堅ろう度、及び ASTM G7、非金属材料の環境暴露試験について推奨される実施方法 に従って実施します。


 裏打ちなし暴露


裏打ちなし暴露は、材料の両面(表面、裏面)が周囲の空気循環に曝されるよう、 試料の両端を固定、 もしくはクランプして行う屋外暴露試験です。 裏打ちなし暴露の代表的な材料としては、ガラス、 フリーフィルム (free-film)、プラスチック及び金属標識材料、 コイルコーティング材料(コイル状にした薄鋼板をロールコーターで塗装すること、 カラートタン、 冷蔵庫、 洗濯機など)、 及び自動車の尾灯アッセンブリーのようなプラスチックレンズがあります。 小板片だけでなく、 窓枠の組立て品、 自動車構成部品、又は完成車両、 “家屋”まるごとといった構成品も暴露します。 被着板に貼り合わせた材料は、 絶対に裏打ちなし暴露方法では暴露していけません。 その理由は、 風、又は空気の自然対流の影響を受けて材料の裏面が冷却され、 材料が最終使用状態で経験する熱環境と同じ熱環境を実現できないからです。 多くのビニル及び塗装の初期破壊は、裏打ちなし暴露方法の熱環境が作用したことによるものです。

中部アリゾナ裏打ちなし45°ラック
中部アリゾナ裏打ちなし45°ラック
南フロリダ裏打ちなし90°ラックに取り付けられた<br>窓枠アッセンブリー
南フロリダ裏打ちなし90°ラックに取り付けられた窓枠アッセンブリー


 裏打ちあり暴露


裏打ちあり暴露は、材料の最終使用状態での熱環境をシミュレートするために試料を被着板(通常、 表面に紙を貼った12mmの合板) に取付けて行う屋外が黒試験です。 塩化ビニル (PVC) サイディングボード、 屋根用フィルム (ルーフィングメンブレーン)、 自動車の成形品は裏打ち暴露ラックで暴露される代表的なものです。 風化作用はあらゆる風化要因 (大気放射、 温度、 湿気等) に対する相乗作用があるので、 良好な暴露を行うためには、 材料の最終使用状態のシミュレーションを行う上で、 その熱環境を正確に維持することが基本となります。

南フロリダテストサイト-45°裏打ちラック
南フロリダテストサイト-45°
裏打ちラック
中部アリゾナテストサイト-45°裏打ちラック
中部アリゾナテストサイト-45°
裏打ちラック
南フロリダテストサイト-90°裏打ちラック
南フロリダテストサイト-90°
裏打ちラック

  裏打ちありラックと裏打ちなしラック


もし、 最終使用状態が裏打ちなしの条件にある製品を、裏打ちありラックに取付けた場合、 その製品の材料 に何が起るでしょうか? 裏打ちあり暴露の熱環境は、裏打ちなしの場合よりも 15℃ 高くなる可能性がある ので、材料は現実とは異なる要因で劣化して行きます。 製品がすでに最終使用環境に耐えられる合格品とな っているにもかかわらず、 添加剤や安定剤を購入して追加したり、 単純に次の製品で、不良品を出さない ための問題解決に不必要な時間とお金を使ってしまう場合があります。 屋外暴露試験では、 この“裏打 ちあり対裏打ちなし”問題は何度となく見落とされてきました。
不適切な裏打ち暴露の結果、試料に起きた熱劣化
不適切な裏打ち暴露の結果、試料に起きた熱劣化

 ブラックボックス暴露



ブラックボックス暴露は自動車ボディーのヒートシンク(空気冷却用放熱器)の特性をシミュレートしま す。ブラックボックスは奥行 150 × 幅 200 × 高さ 25 cmの黒色塗装された開放型金属ボックスです。 暴露するパネルをボックスの上部開放部に置きます。ブラックボックス暴露は、より高いパネル温度を発生させ、 長時間の濡れを達成させるので、 多くのコーティング材や塗料に対しては、標準 5°裏打ちなし暴露に対してより以上の大きな劣化速度を提供します。 ブラックボックス・パネル温度は直接太陽光の下で駐車している車のボンネット、 屋根、 トランクカバーの温度と比較できます。 その試験は ASTM D4141 A法、ブラックボックス暴露方法を規定した、コーティング材料の促進屋外暴露試験に関する標準試験方法 によります。
南フロリダサイトにおけるブラックボックス暴露
南フロリダサイトにおけるブラックボックス暴露

 間接暴露



間接暴露、 ガラス越し(アンダーガラス)暴露は、 材料を屋外条件に暴露する方法ではありません。 この試験方法は、 例えば、 カーテン、 カーペット類、 室内壁紙のような家庭用品、及び自動車内装材の染色堅ろう度/耐久特性の測定に使用されます。 この方法は当初、繊維試験用として 米国繊維化学染色協会(American Association of Textile Chemists and Colorists [AATCC])により開発されたものですが、 その後、自動車用内装材料の試験法として採用されました。間接暴露試験の主要な試験法は、ISO 877 プラスチックス、 屋外での暴露、 ガラス越し昼光への暴露方法、及びフレネル反射鏡を使用した太陽集光促進屋外暴露方法、ISO 2810 塗料とワニス、 コーティング材の自然暴露 ━ 暴露と総合評価、ISO 150-B01 繊維品、染色堅ろう度試験、第B01部 ━ 昼光に対する染色堅ろう度: 昼光、AATCC 111耐候性: ガラス越し自然光及び自然天候への暴露、及び ASTM G24、ガラス越しろ過昼光への暴露に関する標準試験方法。試料は標準的には 3 mm厚の単一強度窓ガラスの下、約 75 mm の所に置きます。このガラスは310 mm 以下の放射を吸収し、77%の UV(紫外線) 放射と85%の可視光を透過します。 間接暴露では、試料表面及び裏面の空気の動きが少ないため、一般的に試料温度は直接暴露の場合以上に上昇しますが、この状態は最終使用環境を良くシミュレートしています。 材料の最終用途に適合しているかいなかを基本として、 強化ガラス、 着色ガラス、合わせガラスを使用します。
中部アリゾナサイトでのガラス越し暴露
中部アリゾナサイトでのガラス越し暴露

  我が社の材料には、どのくらいの試験期間が必要でしょうか?
勿論、この質問に対する答えは、その材料や代表的な使用寿命がどのくらいと予測されているかによって異なります。 ゴルフボール、 印刷インク、 光劣化プラスチックスのような製品では、数日、 又は数時間、といった短期間ですが、 それに比べて、 家屋用塗料、 道路標識、 シーリング材、 電気絶縁物、 屋根用フィルムのような製品は10 年、15 年、又は材料の耐久性に100% の確信を得ようとすれば、 実際に 30年、 又はそれ以上の期間が必要となります。 しかしながら、 お客様はそのような自然条件の中に長期間材料を置いておく経済的な余裕はありませんので、 いくつかの仮説を立てて劣化を予測することになります。 唯一、 他の選択肢としては、 何らかの方法で試験を促進させることだけです。



 間接暴露に使用されるガラスの種類


自動車内装材は間接暴露試験キャビネットで試験を行います。 最も一般的な試験規格では、単一強度窓ガラスが規定のカバーガラスとして推奨されますが、 最新の自動車グレイジングシステムで後部座席と後部ガラスに使用されている、 多量の赤外線放射を絶えず反射する着色ガラスも含まれています。 合わせフロントガラスは、 385 nm以下の紫外線をカットします。もし、 材料の通常の使用環境として、自動車の合わせガラスや着色ガラスの後ろに置かれる材料であれば、 普通の単一強度カバーガラスを使った暴露は非実用的で、 失敗を起こします。 このような失敗と格闘して不必要な時間と金銭を費やさないためにも、 材料を適正な分光特性を持ったガラスの後に置いて暴露することが大変重要です。 現今の自動車窓ガラスシステム

光の透過率、 反射率、 及び吸収率といった自動車窓ガラスの特性を理解することで、最終使用状態のより的確なシミュレーションが達成できます。 3種類の張り合わせガラスの透過率曲線を下のグラフに示します。

3種類の張り合わせガラスの透過率曲線



2.促進暴露試験

製品寿命が増すことが期待される一方で、 皮肉にも、 新しい材料は、サイクル時間を減らすよう 処理され るようになりました。 したがって、 促進試験は経済的、 かつ、 競争的方向に押しやられています。全ての現実的な目的に合わせた、地球上のベンチマーク (基準) 的位置にある南フロリダや中部アリゾナは“促進”試験に適していると考えられます。 その理由は、 世界中の他のほとんどの地域の気候よりも、 この両地域の気候での材料劣化が速いからです。 ほとんどの材料が、必ずしも太陽に曝されていない事実を考えたとき、 これらの試験は更に促進されるものと考えられます。 もし、材料の最終使用条件が垂直暴露(例えば家屋の側面) となっている場合、 45°での促進暴露を実施すべきと考えます。 その理由は、45°の試料は少なくとも30% 以上の放射を受けるからです。 劣化速度の研究では、2.5 倍も速いことが証明されています。 この項の最後に、 試料を“太陽追跡型”ラックで、 一日中太陽に対して垂直に保ったときに受ける全放射露光量は、通常の1.7 倍にもなります。 それに相当する劣化速度は、それ以上に速いものと考えられます。

南フロリダの年間、平均放射露光量(295~385nm)



 EMMAQUA® 試験法


EMMA®やEMMAQUA®装置のようなフレネル太陽光集光暴露装置は、 数ある中でも最も知名度が高く、 広く認定されている屋外促進暴露試験装置です。 これらの名称は頭辞語となっています。

EMMA   - 促進用反射鏡付き赤道式取付け装置
Equatorial Mount with Mirrors for Acceleration

EMMAQUA - 促進用反射鏡付き赤道式取付け装置、給水機構付
Equatorial Mount with Mirrors for Acceleration, with Water (Aqua)

本来、 これらの装置は DSET 研究所(アトラス・ウエザリング・サ―ビスグループの一部門)で 1960 年代に開発されたものです。 DSET 研究所は、 装置のターゲットボードに取付けた試料上に自然の太陽光を集光させるため、 10 枚の平らな鏡を据付けたフレネル反射板システムを採用しました(図 2.2 参照)。取付けたばかりの高品質な鏡は、試料面に全昼光の8 倍、スペクトル中の紫外部のグローバル放射(全放射)の約5倍の強さの太陽光を均一に集光させます。 この試験法は、集光させた自然の太陽光の全スペクトルにサンプルを暴露させるので、 暴露試験の中で最も現実的な試験であるといえます。 試験装置のパラメータであるスプレーサイクル等は、 ISO 877 プラスチックス、 自然環境ヘの暴露、 ガラス越し昼光ヘの暴露方法、及びフレネル反射鏡を使用した太陽集光促進屋外暴露方法、 ASTM G 90 プラスチックス, 自然太陽集光を利用した非金属材料の促進屋外が黒試験の標準試験方法に準拠します。 EMMAQUAでの暴露は、 通常、 平均的砂漠気候 (中部アリゾナ) 又は平均的亜熱帯気候 (南フロリダ)の全紫外線暴露量の“年”単位の倍率となります。 

EMMAQUAに装着したサンプル
EMMAQUAに装着したサンプル
EMMAQUAの暴露試験場
EMMAQUAの暴露場

自然の UV太陽光放射対 EMMAQUA®の分光比較
EMMAQUAの概略図
直接放射エネルギーだけが暴露サンプル上に照射されます。 この装置は、軸を南北方向に向けた太陽追跡型ラックです。北仰角には天頂での太陽高度の季節変動を計算できる高度調整器を備えています。 新型 EMMAQUAはこの季節変動を自動的に計算する設計となっています。 反射鏡は、想像上の放物線の接線となるように配置します。 サンプルはフレームの中のターゲットボードに取付けます。 設定したスケジュールに従って試料に脱イオン水をスプレーするために、 振動式、 又は脈動式ノズルが使われています。


暴露される塗料とプラスチック材料がリアルタイム、 かつ、 静的暴露に曝される場合、 同一サンプルの温度 差は5~10℃ の間に維持されます。 この温度に維持することは、平らな試料にとって非常に重要なことで す。 試料は、周囲の空気で冷やされます。ターゲットボードは、エアートンネルの下に位置し、そのトンネル に沿って置いてあるエアーディフレクター(空気整流板)が空気を約 35 km/h (又は10m/s) の速度で 一定方向に流します。 試料の温度は、試料を取り巻く周囲温度、 試料の厚さ、 熱伝導率によって異なりま す。 一般的に厚手(1cm以上)の試料は、この試験には適していません。その理由は、 試料の上に吹き付 ける空気の量が不足し、 集光させた放射エネルギーとの均衡が保てず、 試料が過熱してしまうからです。

前 述のとおり、 振動式スプレーノズルにより、 脱イオン水が試料面に向けて噴射されます。3種類の一般的なサ イクルが ASTM G 90 に規定されています。 サイクル1:一般的にプラスチック材料用として使用。典型的な 昼間時スプレーを行い、サーマルショック効果を与えます。サイクル2:スプレーサイクルは含まず、砂漠の乾燥 気候をシミュレートします。サイクル3: は一般的に自動車塗装に使用されます。 亜熱帯地域の暴露を想定 し、 夜間には結露の形成をシミュレートするためにスプレーを行います。 その他のスプレーサイクル、例え ば、 浸漬-凍結-凍解 (soak-freeze-thaw)スプレー、 夜間の浸漬 (soak) スプレー、 昼夜スプレーは特殊 試験アプリケーションでプログラムできます。

これら、太陽光集光暴露装置を採用している研究機関は、暴露が仕様通り確実に実施されるための厳格な品質管理手段を適所に設定しなければなりません。 例えば、スプレー水の水質は 200 PPB (全固形分) 以下でなければなりません。 反射鏡は正確な暴露が得られるよう半年に1回測定しなければなりませんし、予定計画表に基づいてリンスや洗浄しなければなりません。 最後に、UV(紫外線)放射照度の測定は、ASTM G 90 の規定に従って実施しなければならないことを述べておきます。

コーティングに関する相関性
コーティングに関する相関性

EMMAQUA®暴露と南フロリダ暴露間の統計的最終値は 優れた相関を示しています。
1991年ミシガン州デトロイトにおける先進塗装技術セミナーにて、 “EMMAQUA®試験法によるコーティングの促進暴露試験”。 発表者:G.A.ザーラウト、 及び J.S.ロビンス


 

  別の自動車内装材用ボックス
別のタイプの自動車内装材用テストボックスがあり、今もってドイツの自動車業界で頻繁に使われています。このボックスは “白雪姫 (英語: Snow White, ドイツ語: Schneewittchensarg)” キャビネットの名称で知られていて、 寸法や構造は IP/DP Boxと似ています。 一般的にインストルメントパネル (計器板) のような試料は、 ほとんどの場合が実際の自動車と同じ状態に取付けられ、 各所に十分な計装、 温度センサーを装着して、 暴露されます。


3.特殊暴露試験

これまで述べてきた暴露試験法は、最も一般的に適用されているものです。 それらは、各種の異なった材料に適用され、 屋外暴露試験に関心を持つほとんど全ての業界に適用されています。 ところが、 時代とともに、自然に最終使用環境と優れた相関性を得るための、非常に特殊化された用途のために開発された装置が出現しました。 以下の装置は、最終使用環境をシミュレートするために設計されたものです。

  IP/DPボックス®


IP/DPボックス

IP/DP (インストルメント [計器板] パネル/ドアーパネル) ボックスは、自動車の内装材として使用され る材料の耐久性や染色堅ろう度を測定するためにのガラス越しの暴露を提供します。この暴露キャビネットは、 当初ゼネラルモーター社によって開発され、 初期のデザインは標準寸法の試料を試験するものではなく、 自動車のアッセンブリー全体を収容するものでした。 これらの装置は GM 9538P、 Ford DMV 2000の性能承認に必要な条件、 各種結合材料の仕様条件を満たしています。 (最大の太陽放射を得るための) 方位角制御追跡法、及び南面固定角法が適用できます。 ボックス内部の温度は、 試料に均一な空気流を送り込む線形軸方向ファンを駆動させることで、 一定のレベルに維持されます。 このファンは、設定温度から3℃ 下がった時点で自動的に停止します。自動車の内装構成部品に対する色々な種類のガラスの影響を評価する目的で、 ウインド・シールド ガラス、 又はサイドガラスを取付けることができます。


  CTH Glass -Trac


CTH Glas -TracT

CTH Glass -Trac(Controlled Temperature and Humidity, Under Glass, Sun Tracking、温湿度制御式太陽追跡型暴露装置)は、当初、自動車の内装材の耐久性を測定するために設計されました。 この試験法では、 屋外暴露試験チャンバに自動車のサイドガラスを取付け、 温湿度制御装置を組み込みました。 ガラスカバーは、 製品開発が柔軟に行えるように、 各種ウインドシールガラスと交換できるようにしてあります。自動二軸追跡システムは、最大太陽放射が得られるように太陽に対して垂直入射となるようにチャンバを保持します。 暴露キャビネットは昼間、空気温度 70℃ を維持し、 夜間には空気温度 38℃/相対湿度 75% を維持します (他の試験条件も設定できます)。 この方法は、自動車内装材の条件をシミュレートし、光に敏感な材料を比較的短時間で退色させ、 劣化を促進させるために太陽光を追跡します。 暴露期間は、全紫外線 (295 ~ 385nm)量(露光量)、MJ/m2で測定します。


実車構成品及び車両試験

顧客の満足度は、材料の耐久性についての最終試験で得られ、 顧客の関心度は一括試験にあります。 仕様書の範囲内の性能を発揮すると思われる材料が、 完成品となり最終使用状態となったとき、 顧客の期待に合致しない不良品となる場合があります。実際のガラスを使用した最終使用状態試験は、どのような内装材料の承認作業を行う場合であっても重要な試験となります。このことは、実際の車両をテストキャビネットとして使用する暴露をも含みます。 実験者から見れば、 この実車試験から二つの利点が得られます。 一つは、正確な最終使用状態に合致した試験条件、 これは最も重要なことです。 他の一つは、顧客が自社材料の耐候性に満足できたという顧客の全幅の信頼です。


特殊屋外環境

放射、 温度、 湿気が風化作用の三つの主要因であることは理解されていますが、 材料によっては、 汚染空気や含塩空気のような二次効果に対し、より敏感なものがあります。 これらの気候のいくつかと、 それに関連した暴露試験サイトについて前ページで説明しております。腐食テストサイトのラックは、ほとんどの場合、 平均海砂境界面から一定の距離 (例えば、 25m及び75m) に設定されます。潮流浸漬サイトには、船舶用塗料の試験を行うための特別に設計されたラックがあり、干潮時にそのラックの水面上に暴露試料を取付け、満潮時には試料が海水に浸漬されるようにします。高度に汚染された環境下での暴露では、一般的に5°、 又は45°で、裏打ちあり、又は裏打ちなしラックが使われます。


4.屋外暴露試験の可変性



屋外暴露試験は、通常、最終使用寿命との相関性に関しては最も信頼性のある試験として承認されていますが、反復性のある結果が得られない多くの可変性要因が存在しています。

天候による可変性

テストサイトの天候は、材料の破損率 (failure rate)と破損モード (failure mode) に重大な影響を及ぼします。 他の地域の天候では、放射エネルギー、 温度、 湿気、 汚染物質の総量が明らかに異なるので、 異なった試験結果に至ることは間違いありません。 また、自然の行為も天候に長期変動を引き起こします。 火山は信じがたい量の灰と汚染物質を空中に放出し、 空気の温度と放射露光のレベルを低下させてしまいます。 東太平洋の温度上昇や低下により、 エルニーニョやラ・ニーニャ現象が作り出され、 2、3年に亘り世界の多くの地域に影響を及ぼし、 温度、 湿気、 風の流れを変化させます。 ハリケーンは、南フロリダの亜熱帯気候に暴露された試料を同地方の各研究機関が、試料を保護する予防策を講じていない場合は、 厳しい損害を与えることもあります。 大気中のオゾン濃度の変動は地表に到達する全 UV(紫外線)放射エネルギー量の増減を引き起こします。

火山による試験への影響
火山の噴火による汚染物質は、最高空気温度と
放射露光レベルを低下させます。
台風による試験への影響
試料に保護対策がとられていない場合は、
ハリケーンが重大な損害を与えます。


季節による可変性

太陽放射エネルギー、 温度、 湿気は時季により無視できない程変動します。 これらの季節的な変動は、多くの材料劣化速度にかなりの差を生じさせるため、短期(1年未満と、それ以上の年数)暴露の結果を比較する場合には、考慮しなければなりません。


毎年の気候変動による可変性

温度、 日照時間、 湿気の年間平均は毎年かなり変動するので、 どの地域であっても暴露試験の年平均結果を比較するのが難しくなっています。 したがって、たった1回の暴露試験の結果を劣化の絶対速度を予測するために使うことはできません。 どこの特定暴露サイトであっても、 数年間反復暴露することによって“平均値”を算出する必要があります。

試験設計(条件)による可変性

どのような暴露試験であっても、 その試験設計(条件)には何らかの可変性があります。 試料の暴露ラック上への配置、 暴露試験場の位置、 試料の取付け形態も全て試験の変動性の原因となります。屋外暴露の可変性が否定できない以上、 屋外暴露試験には、経験豊富で熟練された専門家を常時、 研究開発プロジェクトに参加させるべきです。 これらの試験方法は、新しい材料の耐久性に関する基準となる情報を提供します。「 ASTM G 141 非金属材料の暴露試験の可変性についての取扱い」は、耐候性試験法に共通した可変性を詳しく扱っている信頼できる文献です。



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